アコースティックギターやエレキギターとはまた違うクラシックギターはご存知でしょうか?
あまりにもアコースティックギターとエレキギターが有名なあまり、影に隠れがちではありますが、クラシックギターはとても綺麗で繊細な表現ができる素晴らしいギターなのです。
本記事では、そんなクラシックギターを使用して演奏した初心者にもオススメできる名曲を、「そもそもクラシックギターとは?」と併せて解説していきたいと思います。
クラシックギターの良さを知った上で、名曲を聴くことでより一層クラシックギターの魅力に酔いしれることができると思います!
楽しみ...!
そもそもクラシックギターとは?
クラシックギターとは、ナイロン弦を張ったギターのことです。
アコースティックギターやエレキギターの力強い演奏とは異なり、柔らかく優しい音色を奏でることができます。
また、上達してきたら柔らかい音色だけではなく少し固めな音色、通常よりもさらに柔らかい音色といった、音の弾き分けが容易にできることもクラシックギターの魅力の一つです。
繊細な表現ができるんだね♪
楽器を弾く際はピックではなく自分の爪、もしくは付け爪で弾きます。
自分の爪を用いる場合は、演奏用に爪を削る必要があります。
市販の鉄の爪やすり、なめらかに爪を削るためのガラスの爪やすり、目が細かい紙やすり等を使用して爪を削ります。
ちなみに爪の長さは個人の感覚によりますが、大体手のひらの方から指を見て1~2ミリ程度出ているのが良いとされています。
クラシックギターでの演奏は、一人で伴奏もメロディーも演奏することのできる「ソロギター」が有名です。
基本的にはイスに座って左足を足台に置き、足の間にギターを固定して弾きます。
ギターのイメージとしては立って演奏するバンドや弾き語りのほうが強いと思いますが、どちらかといえばオーケストラで座って演奏する形のほうが近いでしょう。
指で一本の弦をはじいて弾くのが基本の奏法ですが、指をなめらかに交互に入れ替えて弾く「アルペジオ」や、弦を何本も一度に弾く「和音」という奏法もあります。
他にも、弦に軽く触れて音を出す「ハーモニクス」や弦を弾いたあとに左手の指で弦を叩いて音を出す「スラ―」、音を弾きながら指を弦を押さえながら移動させる「グリッサンド」等様々な奏法があります。
「音色の追求」「奏法の多様さ」等、上達すればするほど深みが増し、技術を追求し始めると止まらない点がクラシックギターの面白さといえます。
決して大きく目立つ音ではありませんが、自分できれいな音色を奏でられた時は本当に感動してクラシックギターの虜になることは間違いありません。
ここからは、そんな繊細で綺麗な表現が可能なクラシックギターの名曲をご紹介していきます。
ぜひ、綺麗な音色にうっとりしてみてください!
また、楽譜も曲説明の最後にご紹介しておりますので、弾いてみたい!という方はぜひ実践してみて下さい!
初心者にもオススメできるクラシック名曲①
禁じられた遊び・作曲者不詳
クラシックギターを知っている人なら誰しも一度はこの曲名を聞いたことがあるのではないでしょうか。
元々「禁じられた遊び」という映画に使用されたことからこの名称が有名になりましたが、正しくは「愛のロマンス」という曲名です。
3つの音が怪しく繰り返されていく独特なメロディーが特徴的で、聞いているとその曲調に引き込まれていきます。
この曲のおすすめな点はとにかく押さえるコードが簡単なところ。
最初の部分は指一本押さえるだけで弾くことができます。
多くの初心者の方は演奏する際のコードを押さえてもうまく押さえられなくて音が鳴らず、演奏を進めることにつまずいてしまいます。
弦を押さえるのが苦手な方、コードを押さえるのが苦手な方にはこの曲がおすすめです。
初心者にもオススメできるクラシック名曲②
ラグリマ・タレガ
作曲者のタレガは多くのクラシックギターのための曲を残しており、有名な曲では「アルハンブラの思い出」や「アラビア風奇想曲」があります。
特に「アルハンブラの思い出」は演奏されている方も多い人気の曲なので、知っている方は多いのではないでしょうか。
今回こちらで紹介する「ラグリマ」とは涙という意味で、作曲者のタレガが娘を亡くしたことをきっかけに作られた曲だと言われています。
切ないメロディーと激しいメロディーが繰り返される美しい曲です。
この曲はとにかく楽譜の覚える箇所が少ないです。
2パターンのメロディーを繰り返す曲になっていますので曲の半分を覚えてしまえば全て弾くことができます。
初心者の方で楽譜を覚えるのが苦手な方でもこの曲なら最後まで弾ききることができると思います。
初心者にもオススメできるクラシック名曲③
月光・ソル
ソルもタレガと同様に様々なギター曲を手掛けた作曲家の一人です。
こちらの曲はベートーベンの「月光」からイメージして作られ、曲名の「月光」もそこから付けられていると言われています。
この曲は右手の弾き方がほとんど同じなのが特徴です。
指をなめらかに交互に入れ替えて弾く「アルペジオ」という弾き方を曲の全体で用いています。
初心者の方の中には、右手で様々な奏法をすることが苦手な方もいらっしゃると思いますが、この曲なら「アルペジオ」ができれば弾くことができるので、ぜひおすすめです。
ベートーヴェンの月光に関してはこちらの記事でも詳しく記載しておりますので、興味のある方はぜひ読んでみて下さい!
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初心者にもオススメできるクラシック名曲④
舟歌・コスト
この曲を作曲したコストはソルから指導を受けた方です。
この方もクラシックギターのための曲を多く作られています。
舟歌はベネチアのゴンドラ漕ぎの歌とのことで、ゆったりとゴンドラに揺られているような優しいメロディーに引き込まれる曲となっています。
また、この曲は多くのクラシックギターの教則本や曲集に載っているので、比較的楽譜は見つけやすいです。
この曲はなんとなく弾くだけで曲としてきれいに弾くことができる点がおすすめです。
と言いますのも、ソロギターでは柔らかい音や固めの音の弾き分けが可能な分、演奏のメリハリをつけないとのっぺりとした面白みのない演奏になってしまうことがあります。
なので初心者の方はソロギターの表現方法がわからず、どのように演奏したらよいか苦労する方もいらっしゃると思います。
この曲ならそのような方でも曲の完成度は上げやすいので、とにかく完成度高く曲を弾きたい方におすすめの曲です。
初心者にとてもやさしい曲なんだね...♪
初心者にもオススメできるクラシック名曲⑤
ソナチネ・パガニーニ
パガニーニはクラシックギターよりも、バイオリニストとしてのほうが知っている方も多いのではないでしょうか。
超絶技巧の持ち主で、あまりにも難しい演奏を弾きこなすので、悪魔に魂を売ったのではないかという逸話もあります。
あまりにも天才的な演奏に影響を受けたピアニスト「フランツ・リスト」の話はこちらの記事でも紹介しております。(ラ・カンパネラの箇所です。)
リストでさえ天才的なピアニストと言われているのに、そのリストがひどく感激を受けたというのがもはやすごいよね...
そんなパガニーニもクラシックギターのための曲を残しており、この曲はそのうちの一曲です。
前半は明るい曲調、後半は暗く怪しい、けれども美しいという曲調となっております。
クラシックギターの曲調は大人向けの怪しげな曲、美しい曲が多いイメージがありますが、前半の明るい曲調部分は小さな子どもが歌っているようなかわいいメロディーで、弾いていても明るい気分になることができます。
この曲は左手で弦を押さえる手の形があまり変わらない点がおすすめです。
ソロギターでは様々なコードを使用するので、弦を弾く右手だけでなく弦を押さえる左手の形も変わるので、覚えるのが大変だと感じる初心者の方も多いと思います。
この曲では押さえる手の形は大部分が「Cコード」や「Fコード」といった2パターンの形なので、左手の押さえ方を覚えるのが苦手な方や間違えやすい方でも弾きやすい曲だと思います。
初心者にもオススメできるクラシック名曲⑥
野ばら・ウェルナー
この曲は、詩人や劇作家として有名なゲーテが書いた詩に曲をつけたものです。
シューベルトが作曲した曲は音楽の教科書に載るほど有名な曲なので聞いたことがある人もいらっしゃるかもしれません。
こちらで今回紹介するのは野ばらを作曲したもう一人の作曲者、ウェルナーの曲です。
ゆったりした曲調がクラシックギターの柔らかい音色とぴったり合った曲となっています。
この曲はとにかく譜面が短いです。
16小節で曲が終了します。
初心者の方で譜面を読み取るのが苦手な方や、最後まで譜面を読みきれるか不安な方でも安心して始めることができる曲です。
初心者にもオススメできるクラシック名曲⑦
ワルツ ホ長調・ソル
こちらも「月光」と同じ作曲者のソルの作品です。
この曲はリズミカルなフレーズが特徴的で、練習していても楽しい気持ちになれると思います。
リズミカルな中にも明るく元気な部分、暗く怪しい部分があるメリハリのある曲となっています。
この曲のおすすめな部分はソロギターでは珍しい、リズミカルな曲調です。
ソロギターの曲は全体的に大人っぽい暗く怪しげな曲や落ち着いた曲が多いです。
そのような曲よりも明るめな曲調を好まれる方には曲選びという点で悩まれる方が多いのではないでしょうか。
自分の好みの曲のほうが練習のやる気は上がり、技術の上達の近道となりますので、曲選びで悩まれている方はまずはこの曲を選んでみてはいかがでしょうか。
初心者にもオススメできるクラシックギターの名曲7選|まとめ
今回は初心者におすすめのクラシック名曲を紹介させていただきました。
ソロギターの上達のコツはまずはゆっくりでいいので最後まで曲を弾ききることです。
楽譜を見てよくわからない部分があれば、演奏動画を楽譜を見ながら確認してみたら弾く時のイメージが沸きやすくなると思います。
また、曲を始める際に自分の好きな曲を選ぶと、練習の時のやる気が一層増し、演奏技術をより早く向上させることができます。
自分が頑張って最後まで弾きたくなるような、お気に入りの一曲をぜひ探してみてください。
もちろん演奏ではなく、聴く専門な方も多くの魅力的なクラシックギターの名曲に触れて酔いしれてみて下さい!
落ち着く綺麗な音色の曲が多いよね...!
参考記事
名曲クラシック音楽のオススメまとめ!有名どころのピアノ曲を徹底紹介!
参考記事
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補足:クラシックギター
「クラシックギター」とは、西洋音楽の一ジャンルであるクラシック音楽を演奏するために用いられる特殊なタイプのギターです。クラシックギターは、その独特の音色と豊かな表現力で知られており、幅広い音楽ジャンルで演奏されています。
クラシックギターは、木製の共鳴箱と弦を持つ楽器で、通常は6本のナイロン弦で構成されています。ナイロン弦は他のギタータイプの使用する鋼弦と比べて音がやわらかく、指での演奏に適しています。また、指板上にフレットがないため、演奏技法においては指での押さえやプルオフ、ハンマリングといったテクニックが重要な役割を果たします。
クラシックギターの特徴的な音色は、その音の温かさ、繊細さ、豊かな倍音の響きによって生み出されます。この楽器は、クラシック音楽のソロ演奏や室内楽の伴奏、ギターコンサートなどで広く使用されており、優雅で繊細な音楽表現を可能にします。
クラシックギターの演奏技法は、豊かな音楽表現を生み出すために非常に重要です。指での押さえやプルオフ、ハンマリング、トレモロなどのテクニックは、ギタリストが音楽の表情やダイナミクスを自在にコントロールするために使用されます。また、指の爪を使っての演奏やフィンガーピッキングも特徴的な技法です。
クラシックギターは、古典音楽の作曲家たちが数多くの作品を書き残してきた楽器でもあります。バロック時代の作曲家であるホルヘ・ベネデット・サンス、フランシスコ・タレガ、ロベルト・ジャジャリンなど、多くの作曲家がクラシックギターのために作曲を行いました。
また、クラシックギターは多様な音楽ジャンルにも取り入れられており、ジャズ、フラメンコ、ラテン音楽などでの演奏にも活用されています。
総じて言えば、「クラシックギター」とは、木製の共鳴箱とナイロン弦を持つ楽器で、クラシック音楽を演奏するために使用される特殊なタイプのギターです。その特徴的な音色と表現力により、幅広い音楽ジャンルで演奏され、クラシック音楽の魅力的な世界を広げています。