自分だけが「時が停止した真夜中」に行われる遊びの中で、 亡くなった「あの人」と約束した、千年ぶりの再会。
空想の生物を主軸に哲学的かつ物理学的な考察が交えられているとても独特な世界観を繰り広げている当漫画。
『有害無罪玩具』の中には『虚数時間の遊び』 『金魚の人魚は人魚の金魚』 『盆に復水 盆に帰らず』と複数の作品が収録されておりますが、今回はそれらのあらすじや考察を踏まえて当漫画の面白さなどをご紹介できればと思います。
ぜひこれから読もうと考えている方は参考にしてみて下さい!
目次
「有害無罪玩具」のあらすじ・ストーリー
有害無罪玩具館……そこは不思議な玩具が幾つも置かれ、一時的に世間を騒がせ賑わせるも、いつしかあっけなくに世間から忘れ去られてしまい、世に出回る事の無く終わってしまった玩具たちの博物館。
意志を持つ人魚のシャボン玉。
0・5秒後の未来が見える眼鏡。
未来を予知して描く先取りお絵かき機。
それらを巡る不思議な博物館の見学は、どんなモノをめぐり合わせてくれるのでしょうか?
「有害無罪玩具」の考察・感想!
有害無罪玩具とは世間を賑わせてしまい、そして問題視されてしまった玩具の事を指す、いわくつきの代物でした。
「生きてる!!!しゃぼん玉」と言われた、自己の意志を持つ生きたシャボン玉の人魚を生成する事の出来る玩具。
それは幻想的な玩具かもしれませんが、命を弄んでいるとのクレームが殺到し、いつしか回収されてしまった代物だと、女館長の柳原はそう説明し、そして見学会へと参加した女子の坂本は彼女の案内で有害無罪玩具が集められた博物館を巡っていきます。
どことなくに怪しい雰囲気があるも、人の良さそうな雰囲気を見せる柳原に進められて館内を歩いていくと、そこには多くの有害無罪玩具がケースに収められていました。
僅か先の0.5秒の未来を見せてくれる「みらいメガネ」
未来の自分が描く絵を描いてくれる「さきどりおえかき」
様々な人が思い描く愛らしい動物へと変化してみせる「万能デザイン人形」
理想のアニメ作品だったと思わせてしまう玩具「マクガフィンン物語」
自分の意志を複製する玩具「脳コピー」
もしかしての世界を見せてくれる玩具「多重世界観測バッジ」
そして精神的な苦痛を取り除き、内面的な人格と外面的な人格を入れ替える「有益無意味薬」
と、坂本は様々な玩具と関わっていく事となります。
玩具としてはあまりにも危険な存在と思えてしまうような代物ばかりと、この博物館にある玩具は、子どもが遊ぶ代物としてはあまりにも危険なモノばかりでした。
下手をすれば世界を根底からひっくり返す事の出来るようなモノなのですが、その途方もない性能や存在感故に世間から忘れ去られてしまい、無かった事にされた発明品とも言えます。
それ故に柳原館長はそんな玩具の事を良く知り、そして坂本にそれを丁寧に説明し、本来にあるべき性能を示していき、この博物館の存在意義と、またこの博物館に置かれている玩具の存在を示す物語とも言えます。
不思議な世界を巡るような自己の存在と複製されていくだろう自分の存在を創り出す玩具。
もしかしてあり得るかもしれないだろう多数のもしもの世界を知る事の出来る玩具。
神の世界に触れていくような不思議な感覚が込められた物語とも言える内容は、SFの考察に登場する全ての思想を取り入れた内容でまとめられた短編とも言えます。
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「虚数時間の遊び」考察・感想!
夜道の中を一人で歩んでいた彼女。
彼女は突然に停まってしまった世界を一人で歩んでいる停止世界の旅人して登場します。
なんで時間が停まってしまったのかと、また何で自分だけ動いているのかと、そんな謎を解けるわけもなく、ただ時間が停止した夜明けの来ない世界を旅する彼女と、虚構が作り出したもう一人の自分と巡る旅と、どことなくにダークな雰囲気で描かれていきます。
寝ても夜の世界は続き、これは安易な悪夢ではなく、今自分が知覚している現実なのだと理解し、悲観する事ないままで、停止した世界で様々な痕跡を残していく彼女。
停止している世界を良い事に、子供じみた悪戯をしては、動き出せば問題が起きてしまう様な悪戯をし、また人助けや悪事などをしながらに、痕跡を残していく彼女。
その存在感は、無為な時間を過ごしているだけの人間ではなく、静止した時間の中で自分の存在感を知覚しながら、前向きに生きて、そして無限の時間の中で過ごしていく、彼女の終わらないライフワークとも言えます。
それは言うなれば終わりの無い牢獄の様に思え、自分から命を絶ってしまいたくなるようなことですが、彼女は自分で人生を終わらす事無く、前向きに停止した時間の中を、何千年と何億年と何兆年と過ごしながら、平然と歩んで行きます。
このまま何をしても終わらない時間を生きていくのかと、その虚無とも言える生活に注目してしまう内容であり、また時間が無限に続く事は、飽きる事で終わりを迎え、それが停止した世界であろうとも、停止していないであろうとも続くものだと感じさせられる物語です。
話題沸騰中の「有害無罪玩具」はド級の思考実験SF漫画なのだ
— 奇書が読みたいアライさん (@SF70687131) March 14, 2020
未来で禁止された奇妙なおもちゃ巡り、時間停止した世界の彷徨、理性なき人魚が見届ける人類と宇宙の終焉…
並行世界や時間へのディープな思弁を込めつつも、清廉な刹那さを纏う持ち味は唯一無二!実験的な表現技法の数々にも注目なのだ〜 pic.twitter.com/nhaOSzqfpu
「金魚の人魚は人魚の金魚」考察・感想!
死ぬ事の無い、また不滅の存在である人魚が当たり前のように存在する世界を舞台にした物語。
金魚の尾を持つ人魚をテーマにして物語は綴られていくのですが、本編に登場する人魚は、知性や知覚を持たない存在として登場し、人類の中でただ存在しているだけの存在として登場し、物語は読者視点の観測で紡がれていくと、独特な演出が見受けられていきます。
死ぬ事がない不滅の存在と、人間の傍で常に空中を泳いで存在する奇妙な生き物として登場するも、時代によっては様々な扱いを受け、死ぬ事もなく、死滅する事もなく、やがて人類にとっては当たり前のように存在するモノとして扱われていく人魚達。
ただ繁栄する事などは無く、飼い主となった人間の傍にいて、もし飼い主が死ねば、またどことなくに勝手に泳いでいくと、世界を巡りながらに無限の時間を巡っていく存在感は、空虚な神の様にも思えてしまえるような雰囲気があります。
人類に干渉することなく、人類の傍にいて、人類を見ても何も感じず、本能のままに空中を漂い、不滅の中を生きていく金魚の人魚達。
それは不気味に見えるも、世界にとっては当たり前の営みとして映り、人類がやがてに消え去る中でも、人魚は存在し、世界に関わってくその姿は、虚無の中に泳ぎ続ける不滅の存在とも言えます。
そんな人魚に関わり、多くの可能性と不可能性が演出され、地球と宇宙の存在感を壮大なテーマとして映し出していく物語とも言えます。
「盆に復水、盆に帰らず」考察・感想!
死者が水を通じてあの世から戻ってくると、人の死に水を取った所で死ぬ水を盆に垂らせば帰ると言う不思議な世界で紡がれる物語で本編は進んでいきます。
かつて死んだ女性の死に水を使い、盆で呼び寄せて久しぶりの邂逅を楽しむヒロイン。
そんな彼女は、時間飛行士と言うタイムスリッパーでもあると、SFとファンタジーが混合した物語として本編は進んでいきます。
タイムスリップが可能となった世界になり、人類が破滅的な死滅を迎えない様にする為に、時間を観測する時間飛行士を未来に送り、人類が破滅するだろう要因を取り除いていく試みが行われています。
そんな世界において1000年後の未来でかつての親友と合う事を約束するヒロインを主体に物語は進んでいきます。
でも、死んでしまった親友の魂を捕らえている様な罪悪感に駆られてしまい、ヒロインはその約束を反故すべきなのかと、自由に巡る事の出来る時間の中でのもしもを考えていく事となります。
もし霊体である彼女に明確な意思があり、輪廻転生や生まれ変わりがあるのならば、それを邪魔をしてしまうのではないのかと思い、1000年後の世界での再会に戸惑うヒロインの葛藤など時間を巡るSF要素。
また幻想的な魂な在り方などを見ごとに混合させたショートストーリーとして紡がれています。
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全体を通してネタバレ込みの感想や考察
鬼才の漫画家である詩野うら先生による、現代のSFアイデンティティを揺るがすSF漫画作品として注目がある漫画『有害無罪玩具』は、独特な世界観で構成されていくSF漫画でもあります。
SFの定義はサイエンスフィクションとあり、空想科学な現実にはあり得ないだろう物語をテーマにするも、本編で語られて紡がれていくのは、少し不思議な世界であるも、万能のように見えても、矛盾が存在し、その矛盾の中で物語を紡いでいく独特な世界観があります。
独特な世界というのは簡単であるも、難しく、万人の読者に受け入れられる事は容易ではないのですが、この作品は読む人を独特な世界観へと誘い、不思議な世界であり、また万能でもあり、矛盾が存在している世界を魅せてくる作品でもあります。
一度読んでみれば、この物語はどんな内容だったのかと首をかしげてしまい、また読んでしまうと、この物語の中毒性とも言える面白さが込められ、少し不思議な世界を垣間見たい人におススメしたい作品でもあります。
かつての漫画家が描きたかったであろう、少し不思議な世界こと空想科学だけではないSFの世界を後世に引き継いだ本作は、かつての漫画の求めていた世界の在り方を示してくれる作品として楽しめる内容にまとまっています。
ネタバレ込みの感想・考察
今後の展開はどうなっていくのか?
兄・理火がこの世界にいると知り、遊理は微かな希望を抱くも、目の前で殺されてしまう人や、自殺を決意してしまう人を見て、恐怖から自殺を選んでしまうも、この世界で唯一に飛ぶヘリを発見し、とあるビル屋上の発着場を行きかう事を知り、遊理は脱出出来る可能性に掛けて、へリの発着場を知る為に行動していきます。
まずは兄と合流しなければと、ビルに潜む仮面の殺人鬼──天使と呼ばれる存在と対峙する中で、本来は自分を守る筈の警察官に命を狙われ、また生き残る為にと他人を利用し犠牲にする事をいとわない利己的な人間と関わりながらも、機転と知識を利用して窮地を抜けていく遊理。
スナイパー仮面こと誠勇火(まこと・ゆうか)に狙われ、二瀬真由子(にせ・まゆこ)と、心に闇を抱えている少女に固執されるなどしながらも、青原和馬(あおはら・かずま)と邂逅し、「神に近づいた人物」と「神」になる術を知ります。
はたして神となる意味とは?
そして遊理は理火と共にこの世界から生還出来るのでしょうか?
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